「公園は避難場所」

村)ちょっと話は変わりますが、
  公共の場、例えば、公園を例にあげると、
  そもそも公園は、多くの人のための憩いの場だったり、
  子供たちの遊び場だったりしますよね?
  公園で安心して子供を遊ばせることができない、とか、
  散歩するのもこわい、という人たちについてはどう思いますか?


松)そうねえ。

  でも、公園というのは、避難場所でもある訳やん。
  震災とか火災とかあったら公園に逃げることになっとるやん?
  当事者みんな、好き好んでいるんやないしね、
  ここは本当は自分たちが住んではいけないんじゃないか、
  という謙虚な気持ちはあるんよ。
  それは、ほぼ全員にある認識だと思うよ。
  どこにも行く場所がない、頼ることのできる相手がいない、
  だから避難してきとるんよ。
  

村)そういうことを、分かってもらえるようにしていかなきゃですね。

松)まあ、でも、言わなくても見れば分かるだろう、とも思うけれどもね。
  住む所があったら、いちいちねテント張ってこんな所におるか、って
  いうことであって。

  
村)でも、世の中が、ホームレス中心に動いていたり、
  皆がホームレスの立場を考えて日々を過ごしている訳じゃない
  ですからね。その辺、理解を求める姿勢も大切では?
  

松)まあね。そういう意味では主張はしていくべきかもね。



  
 「傾向と対策」

村)最近は、若者や女性のホームレスの方も増えてきていますが、
   何が原因なんでしょう?

松)そうねえ。確かに増えてるねえ。
  まあ、自分たちが遊んでたから・・とか、そういうこともあると思うけど。
  それ以外にもそれぞれ事情はあるんやろう。
  例えば、会社でいじめられた、とか
  社会に馴染めない人というのもいるから。
  女性も確かに増えてるし。
  まあ、不思
議だなあ、とも思う部分もあるけどね。
  

村)でも、若いんだから、アルバイトでも何でも、何かはあるだろう、
  と思う人も多いと思うんですけど?
  みなさん、現実には、仕事ができないのか、仕事をしたくないのか、
  割合でいうと、どんな感じなんでしょう?
 
松)まあ、半々だと思うよ。
  社会にも馴染めない、というのが大きいんだろうね。
  中には、保護の必要な人、というのもおるけど。


村)では、ホームレスの人が自立するためには、
   どうすればいいと思いますか?

松)本人の努力、とかも勿論必要やけども、
  国がやるべきことがあるよね。
  まずは、仕事を作ること。雇用の確保やね。
  でも、仕事って言っても、できない仕事はダメね。
  例えばコンピュータ関係の仕事、とかいきなり言われても
  無理やと思うし。
  ちゃんと皆ができる仕事を出してもらわないと。
  あとは、生活保護ね。

村)実際、ホームレスの皆さんができる仕事は何でしょう?

松)まあ、清掃関係とかね。
  実際、公園の掃除の仕事の募集枠80名に対して、300人の応募がある
  くらいだから、掃除の仕事をしたい人もこんなに多い訳よ。
  これは仲間が仕事をしたい、という何よりもの証拠でもあると思うわ。



   「福祉」

村)なるほど。
  では、自立支援センターについては、どう思われますか?

松)2ヶ月限定で、屋根のある所と住所を提供して、後は自分で探して、
  って言われても、それは難しい話だわな。
  で、仕事が見付からなきゃ出て行け、って、それはないやん。
  住所使っていいですよ、って言われても、その住所だって○○寮、とか
  自立支援センター、と分かるような住所な訳で、そういう履歴書で雇って
  くれる所があるか、とかも ちゃんと考えてみてほしいし、
  細かい色んなところに頭が回ってないんよ。
  だから、そういうこと、こっちからも指摘したりはするんやけど。

村)福祉の人って、接しててどうですか?

松)勉強不足と思うね。
  こっちがガミガミ文句言っても、はいはい、とか適当な返事はするけど、
  結局は、家に帰って反省したり、学習する、という姿勢はない。
  頭の中に、福祉という現状の中で、ホームレスは別、
  という考え方やろね。
  一般的に生活して困っている人、
  母一人、子一人みたいな人には温かいのかもしれないけど、
  ホームレスには、福祉が面倒みるところじゃない、という意識。
  向こうとしては、おたくらが勝手にホームレスになったんでしょ、
  という姿勢を感じるね。
  話は聞くけども、何かをよくしよう、という気持ちはみえない。
  そりゃ、中にはいるよ、いい職員も。
  でもねえ、話聞くくらい誰でもするやん、仕事なんやし。
  

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