「対策」


M) ちょっと難しい話になりますけど、世の中からホームレスの人が
   少なくなるためにはどうすればいいんでしょう?

Y) かなり難しいでしょうね。
  まず、仕事がない状況が解決されないと。
  それと生活保護ね。もっと柔軟にならなきゃ。
  社会保障制度をしっかり、日本として、国として、しっかり取り組まねば
  ならないと思い ますね。
  自立支援センターにしても、一時凌ぎのものでしかない訳で・・。
  まともな人間が仕事を探したってない時代にあって、センターに入って、
  当事者に自分で仕事を探せ、というのは至難の業ですよ。
  インターネットが使える訳でもないし、建築関係出身の人がイマドキの仕事など
  できないでしょ。かといって、年齢的、体力的にも力仕事は難しいですし。


M) そうですね。自立支援センターも、もっと充実したものであれば・・。
  今の状態では充分ではないですよね。

Y) そう。自立支援センター自体には反対ではないんですよ。
  でも、足りないことが多すぎる。もっと考えてほしいですね。
  こんな状態にあるのも自分たちのせい、と言われれば否定はできませんけど、
  それでも、国としての対策ももっとしっかりやってほしいですね。
  イラクに3500億円の支援費を出すのに、
  国内のホームレスに対してはこんなでしょ。
  もう、諦めの境地です。死ぬまでこんな状況かと思いますよ。
   

 「家族・夢」


M) いま、ご家族はどうされているんですか?別れた奥さんのほかに、
  お子さんもいらっしゃるんですか?

Y)  はい。娘と息子が一人ずついます。

M) 今どんな風に生活されているかご存知ですか?

Y) 娘とは少し前まで連絡とっていたので、大体はわかります。
  といっても、娘と連絡をとったのも7年前が最後ですけど。
  そのときはまだホームレスになってなかったですしね。

M) それから、連絡を取ろうという気持ちは?

Y) 気持ちとして、できにくいですね。
  妻と別れたとき、娘は大きかったんですけど、息子はまだ高校生でしたから。
  息子は私のことを憎んでいるんですよ。

M) では、連絡は取りづらいけれども、会いたい気持ちはある?

Y) そうですね。いつかは・・って毎日思っていますよ。
   なかなか難しいと思いますけど、やっぱりいつかは・・。
   

M) なるほど・・・・。
  それでは最後に、山本さんの夢は何ですか?教えてください。

Y) 夢は・・・
  この国の政治を変えたい。できることなら。
  今70で、生きているうちに何ができるか、毎日考えてるんですけど、
  焦るばかりで、答えが出ない。
  何をどうすればいいのだろうか、と考えていると夜も寝付けないんです。
  あと・・また家族と一緒に住みたいですね。
  親らしいことをやってないから、後悔しているんです。
  息子が一番かわいそうで。
  息子がまだ高2の時に去ってしまったから。謝りたいんです。
  でも、謝るにも、時間が経ちすぎてしまいました。
  タイミングを逃してしまったんです。
  会いに行きたいんですけどね。

M) 今は、まだその時ではないですか?

Y) 今行くと、ホームレスになってしまっている訳ですし、
  頼って来たと思われるからね、きっと。
  だから、ある程度お金を貯めて、いつか会いに行こうと
  思ってるんです。
  時間がない、という焦りもあるんですけど、いつかきっとって思ってます。


M) はい。
  今日は、色々とお話聞かせて頂いてありがとうございました。

                             
 
                             

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2003.12.12