時々、街で見かける路上生活者。
この人たちは、この「経済大国・日本」の中にあって、
なぜ、このような生活をしなくてはならないのだろうか?
一体、何を考え、何を望んでいるのだろうか…。

そんな疑問を少しでも解消したくて、
当事者の”生の声”を聞いてみたくて、
2003年1月10日 金曜日、
はじめて代々木公園に足を運びました。

最初の半年間は、ボランティアとして参加。
その後は、そこで培ったネットワークを元に取材活動をスタート。
私は、今まで知らなかったことを沢山知ることになりました。

多くのホームレスの方と出会い、
支援団体&当事者と公園管理事務所との何度にも渡る
団体交渉、デモ、座り込みetc...
様々な場面に立ち合わせていただきました。

そして、その中で分かったこと。

1.仕事がない。
2.多くのホームレス当事者は仕事をしたい、と願っている。
3.ホームレスに対する偏見はものすごく大きい。(理解がない)
4.国は充分な対策を打ち出せていない。

一見、多くの人に知られているこの社会問題ですが、
私が現場を見ながら感じるのは、
この問題は 本当に奥が深い、ということです。
偏見、それぞれの抱える問題、国の対応など、
多くの問題の中で、
「ホームレス問題」を一言で語ることはできません。

今後も、少しずつエリアを広げながら、
勉強&取材をしていきたい、と考えています。

そして、その中で見たこと、感じたことなどを、
私なりに伝えていきたい、と思い、
この度 ホームページを開設することにしました。

正直、まだまだ勉強不足な部分も多く、
そんな中でHPを立ち上げることに、
少なからず、躊躇する気持ちもありましたが、
それを言っていては、いつまでも
伝えることへの恐怖感は消えないだろう、という思いから
一歩を踏み出す決意をした次第です。

この問題に興味のない人にも、興味を持ってもらえるように、
多くの人が弱き立場の人の気持ちを
考えることができる社会になるよう、
取り組んでいければ…と思っています。

さいごに…
この社会問題を深刻に捉えない人は、
実際に当事者と接して理解しようとすることもなしに
大抵こう言います。
「自分たち自身のせいでしょう?そんなの同情もできないね、
自業自得だよ」 と。
これが、悲しいかな、私の周りの大多数の意見です。

確かに、その気持ちも分からなくもありません。
でも、自業自得だから、という理由で、
今、大変な思いをして困っている人を軽視、
或いは無視するのは、私は違うと思うのです。

過ちを犯してしまった人もいるでしょう。
皆、本当に様々な理由で野宿をするに至っています。
そこを理解するのも重要なことですが、
いかなる理由がきっかけであれ、
大切なのは、
”いま” 路上や公園などにいて困っている人が、
どうすれば少しでもよくなるのか?
どうすれば健康で最低限の生活を保障されるのか、
考えていくことだと思います。

この社会問題を少しずつ理解し、
当事者、支援者、そのどちらでもないその他多くの人、
様々な立場からこの問題を見つめ、
考えていきたいと思っています。

中立の立場を心がけ、少しずつ 分かりやすく
お伝えできれば! と思っています。

どうぞよろしくお願いします。


2004年1月
                                  
                     村上知奈美