2005年4月9日(土曜日)     「食事会の様子」

     
     TOKYO UNION CHURCH、月に一度の食事会の日。
     実際に その様子を見学させて頂きました。

     食事会は、食堂スペースの都合上、
     一度に全員の方が入ることができないため、
     1日4回に分けて行われます。

     1回につき100人×4回(今日の最後のグループは50人程)、
     計350人〜400人のホームレスの方が訪れます。



            



     まず、礼拝堂にて「集会」が行われます。
     毎回お話をされる方は変わるようですが、今日お話をされた
     のは、前回の日記に登場して下さった樋口さん。
     15分ほどのお話を聞くと、皆で食堂へと移動します。

     本日のメニューは、
     「親子丼(or中華丼)&スパゲティサラダ」(おかわり1回自由)
     そして、飲み物は「コーヒー」でした。
     料理の担当は、元コックのホームレスの方々です。
     料理長を筆頭に、チームで食事を作っていらっしゃいます。



            



     お言葉に甘えて、私も食べさせていただくことに・・。
     一口食べて、「おいしい!」って思いました。
     (今まで、炊き出しなど、他の場所で何度か余り物などを
     食べさせて頂いたこともあるのですが、
     正直、あまりおいしいと感じたことはありませんでした。)

     それは、どこかのおいしい定食屋さんで実際に出されて
     いても不思議がないくらいのおいしさ。
     あっという間に食べてしまいました。

     食事会に参加させて頂いて思ったのは、
     400人分の食事を用意して食べてもらうということは、
     想像以上にとても大変な作業なんだな、ということ・・。
     月に1度でも、こうして食事会を行い、続けていくのは
     簡単なことではないはずです。

     担当者の樋口さん自身、大変なので何度もやめようかと
     思われたこともあるそう。
     でも、終わった時に、 ”やっぱりやってよかった”と
     思えるから続けてこられた、とのこと。
     「これからも、なんとか続けていけたら・・」
     そう語って下さいました。

     帰りがけ、ホームレスの方に食事会の感想を聞いてみました。
     この食事会をありがたく感じ、また、集会のお話も楽しみに
     されているそうです。
     ご自身の人生を反省し、日々考え続けているという
     その人は、この食事会を開催してくださる樋口さんたちに
     とても感謝されているご様子・・
     「おいしかったですよー」
     その言葉に、私までうれしくなってしまいました。







    
 2005年4月3日(日曜日)  「TOKYO UNION CHURCH」



            



    
 東京・表参道にある 「TOKYO UNION CHURCH」 、
     (表参道を歩いたことがある人であれば、おそらく誰でも
     その前を通ったことがあると思います。)
     この教会で、毎月1回、ホームレスの方への食事会が行わ
     れていると知り、その詳しい内容を聞きに行きました。



             



     隣の駅・渋谷や代々木公園などでは多くのホームレスの
     方を見かけるものの、表参道ではホームレスの方の姿を
     見かけること自体 少なかったので、この教会の前で
     ホームレスの人らしき人の集団を目にした時は 驚きでした。
     どんなきっかけで、この教会にホームレスの人たちが集まる
     ようになったのだろう?食事会のきっかけは何だろう?
     どんな人が、どんな思いを抱いて活動されているのだろう?
     聞いてみたいことが沢山ありました。

     出会ったのは、樋口一法さん(52)。
     施設マネージャーのお仕事をされているという樋口さんが、
     この食事会の担当者です。



             



     食事会のきっかけは、
     教会に通う一人の信者の方だったそうです。
     個人的にホームレスの方へのボランティアをされているという
     その方の提案で、ある日、ホームレスの方との「交流会」を
     することになったとのこと。

     そのとき集まったホームレスの人は50名ほど。
     とてもうれしそうに帰っていく皆さんの笑顔を見て、
     樋口さんは、もっと何かできないだろうか?とお考えになら
     れたそうです。

     そこで、思いついたのが月に1度の 「食事会」。
     知り合ったホームレスの方が ”元料理人” だったため、
     料理はその方にお任せする形でスタートさせることに。
     (3年前のことです。)

     そして現在、食事会に集まる人数は、350〜400人ほど。
     渋谷のみならず、新宿や上野などからも多くの方が歩いて
     来られるそうです。(聞けば、中には私のよく知る人の名も。)

     数百人もの方が教会の周りに並んでいる訳ですから、
     時には街の人からのクレームもくるそうです。
     「何をしているんですか?子供が怖がっています。」
     そんな電話がかかってきたり、
     近隣の飲食店の人にパトカーを呼ばれたことも・・・。

     「迷惑に思う人の気持ちも分かる、だから難しい。
     でも、目の前に困った人がいれば助けになりたい・・。」
     樋口さんは、熱心に語ってくださいました。

     質問してみました。
     「炊き出しや食料を配ることによって、ホームレスの人を
     甘やかしてしまい、余計に自立できない状況を作っている・・
     例えば、色んな団体の炊き出しをまわれば、食べることには
     困らない訳ですから、逆に自立を妨げる行為だと批判する人
     もいらっしゃる・・。その辺はどうお考えですか?」

     「ギャンブルなど自業自得と言われても仕方がない形で
     ホームレス生活になってしまった人、
     社会の中でうまくやっていけない、という不器用な人、
     難しく考えれば色々な人がいて、ホームレスになった理由も
     様々ですが、理由が何であれ、私は単純に考えて、
     目の前で困っている人に手を差し伸べる、それだけなんです。
     世の中に見捨てられた、見放された、と思っているかも
     しれない人に、あなたのことを心配している人もいるんだよ、
     と思ってもらえたらな・・と思っています。
     そして、もう一度、何とか立ち上がる力にして頂けたら・・
     そういう思いです。」
     シンプルに考えて行動されているようです。
     樋口さんは、批判の声も承知の上で自身の考えを
     貫いていらっしゃるのです。

     また、こんな風にもおっしゃっていました。
     「ホームレスの人が、皆さんが思われるように、皆が皆
     不幸かどうかは分からないと思います。
     多くの方が大変な思いをされているとは思いますが、
     もしかしたら、中には、物質的には恵まれていなくても、
     本人はそんなに不幸だと思っていない、という人も
     いるかもしれない。
     だから、ホームレスの人がどうすれば減るのか? 
     とか、そういうことは私の範疇の問題ではないように思って
     います。私は、皆さんに幸せになってほしいと思うだけです。」
     
     なるほど・・・。
     ホームレスの人が減るにはどうすればいいのだろう?
     どうすれば社会復帰することができるのだろう?
     そのように考えていた私にとって、
     樋口さんの考え方は、とても潔く、新鮮なものでした。

     TOKYO UNION CHURCH、 この教会では「食事会」の他に、
     ボランティアスタッフが毎日400個のおにぎりを作り、配る
     活動もしているそうです。


             



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