3月19日(金曜日)    「公園・適正化のはじまり」


     最近、暖かい日が続いたからでしょうか・・
     まだ寒さの残る中、代々木公園の桜が咲き始めました。
     春はそこまで来ているようです。


            


     さて、今日は、「公園の適正化」が始まっているのだな、
     と思うことがありました。

     先日、ある理由で公園を出た人のスペースに、
     ロープが引かれ、
     「立ち入り禁止」の看板が立っていたのです。
     つまるところ、それは、”ここにはもう誰も入ってはならない”
     というメッセージであり、
     新規流入者を防ぐためのものだと思われます。


            


     そこで、みなさんに、東京都の打ち出した対策についての
     感想を色々と聞いてみました。
     「3000円のアパートについて、どう思いますか?」
     という質問に対して、
     
今日の時点では、否定的な声がほとんど。
     あとは 「まだ分からない」という声が多かったです。

     でも、中には、
     「いい仕事があって、ちゃんとやっていけるようなら
     いいと思うんだけども・・」 といった
     不安の中にも期待感が垣間見える意見もありました。

     というのは、
     公園に住むホームレスの方には、公園にいるからこそ
     できる仕事(例えば、アルミ缶の収集など)があります。
     その収入があれば家賃3000円は払える、
     でも、今の仕事は、アパートに入ったらできなくなる、
     代わりにどんな仕事をすればいいのだろうか?
     こういった不安が大きいようです。

     対策の具体的内容も まだ明確になっていないだけに、
     当事者の気持ちは、
     不安と かすかな期待で揺れているようです。






     
     3月16日(火曜日)    「読者からの感想メール」



     先日、このHPを見てくださっている方から、
     感想メールを頂きました。
     メールを下さったのは、
     ペンネーム/本牧のロッキーさん(40才・男性)。

     とてもうれしい内容だった、ということもありますが、
     それだけではなく、このHPを見てくださる方に、
     ”こんな声もあるんだぁ”と思って頂けたら・・と思い、
     その一部をちょっぴりご紹介させて頂きます!
     (ご本人様には、メールで了解を頂いております)


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     新しいインタビューと日記の更新読みました。
     渋木さん密着リポート!?&インタビュー
     今迄にも増していい感じですね。
     一番印象深かったのはインタビューの中で、渋木さんが
     子供の教育をちゃんとしないと将来的にも根本的には
     解決しないっていうような事を言っていた所。

     僕の息子もそう言われると、競争をする事、
     勝負に勝つこと(テレビゲームの中?!)は考えられても、
     弱きを助ける気持ちや思いやる気持ちが旺盛かと
     言われると親としては自信がなかったりします。

     ”一人一人の人格を理解できる社会”
     これが今の日本に最も必要とされている事だとほんとに
     思いますよ。(政治家や起業のトップやそれこそ教師なんか
     も競争社会の申し子のような人がほんとに多いのだろうと
     容易に想像できますよね。)

     常日頃の僕の持論は、
     現代の消費する社会、休まない社会は何処かで
     考えなくちゃならない運命にあるのだろうと・・。
     ま、そういう社会に溶け込めない人がいるって事も当然の事。
     それを社会として受け入れられないのは、
     やっぱり日本はそういう意味での途上国なんだなぁ・・。
     一口にホームレスと言っても、
     問題はかなり根深いのだと改めて思いました。

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     ロッキーさんからは、もう何度も感想&応援メールを
     頂いているのですが・・ロッキーさんの他にも、
     メールを下さる方のメッセージからは、
     いつも参考になる言葉が沢山あります。
     一人のお子さんの父親としてのこんな感想には、
     とても説得力がありますね。

     このメールを読んで、まず思ったのが、
     こんな親が、日本にいっぱいいてくれたらなあ、ということ。
     まずは、教育をする立場の大人たちが、
     色んな人の立場を分かろうとする人間になれるように
     努めていきたいものですね。

     あと、最後の”休まない社会”についてのくだり、
     考えさせられますね。
     休んでばかりじゃ、経済も滞ってしまうのでしょうが、
     それにしても、休まなすぎ!ですよね。
     (仕事のある人、ない人、関わらず・・・。)
     体も!心も!安まる時がないと、他人のことを考える余裕
     って なかなか できなかったりしますよね。

     ゆとり教育、だとか、色々と”ゆとり”対策は考えられている
     ものの、今の日本には、
     やはり 真の意味での ”ゆとり” が必要!
     そんなことについても、改めて考えさせられました。






     
     3月8日(月曜日)          「新宿」


    
 新宿に行ってきました。
     2月の日記にも登場していただいた渋木さんに会いに。


            


     新宿に着いたのは、朝9時すぎ。
     いつも雑誌「ビッグイシュー」を売っているという場所に
     行ってみますが、まだ姿はあらず・・。
     約束もせずに行ったものですから、仕方がありません。
     そこで、せっかくなので、
     新宿中央公園に行ってみることに。

     都庁のすぐ横にあるこの公園。
     入り口手前の歩道橋を歩いていると、渡りきる前に、
     沢山のブルーテントが見えてきます。


            


     中に入ると、天気がいいからか、
     外で昼寝をされてる方が目立ちます。
     ふとんや洗濯物も沢山干してあったりして・・。


        


     この景色、もちろん都庁からは丸見え状態。
     石原都知事は、この景色を見て、
     正直、どんな感想をお持ちなのだろう。
     公園の適正化計画が、”排除”ではなく、
     真にホームレスの自立を促すための対策であって
     ほしいなあ、と思いながら歩きました。

     さて、渋木さんですが、公園からの帰り道、
     偶然にも、ばったりお会いすることができました。
     そして、11時前〜夜7時すぎまで、
     渋木さんの一日に密着させて頂きました!


             


     このHPのインタビューページの第3回ゲストとして、
     まず、たっぷり3時間ほどお話を伺い、
     それから、時々お話を聞きながら、
     雑誌販売の様子をずーーっと見させて頂きました。
     雑誌を買われる方の感想なんかも聞いたりして・・。
     (詳しくは、インタビューページを見てください!)

     そこで、今日一番印象に残ったのは 若いお兄さん3人組!
     20歳そこそこでしょうか・・大学生くらいと思われる彼等は、
     3人とも全身黒ずくめの服装。
     サングラスをかけ、よく見ると、あちらこちらにブランドの
     ロゴの入った小物、ゴールドのネックレス・・。
     こんな感じのお兄さん達が、渋木さんに声をかけます。
     「おじさん、これ買ったら一冊につき130円おじさんに
     入るんでしょ?俺、買うよ。」
     「110円ね、入るんです。ありがとう。」
     こんな会話が交わされていました。

     気になって、お兄さん達に声をかけました。
     私:「学生さんですか?」
     男の子:「いや、もう、働いてますよ」
     私:「この雑誌を買うのは初めて?」
     男の子:
     「初めてです。テレビで見たことあるんっすよねえ。」
     私:「いま、どんな気持ちで買ったの?」
     男の子:「どうっすかねえ、頑張ってるから、なんかさあ、
     別に読みたくないんだけど、まぁ、気持ち、みたいな感じで。
     ホームレスも頑張ればできんじゃん、って思うし。
     テレビで見て130円くらい上がりがあるって、知って。
     頑張ってますよねえ」

     ・・と、こんな会話。
     少々生意気な感じもするコメントではありますが、
     まさかこんなお兄さん達が・・。(見た目で判断しちゃって、
     私の彼等への偏見もひどいもんですが、)
     なんだか、すごくうれしかったです。

     買っていかれる人全体として、今日は女性が多く、
     皆さん「ビッグイシュー」のことを新聞やテレビで知り、
     同じような感想をお持ちでした。

     午後7時までに売れたのは、33冊。
     立て続けに売れたり、ずーっと売れなかったり・・。
     ずっと立ってるだけでも本当に大変!

     今日の売り上げは、3300円。
     月曜日は、週の初めで慌しいからか、
     最近は今日ほどは売れないんだそうです。

     「よかったですね、沢山売れて!」
     迂闊にもこんな発言をしてしまいました。
     すると、渋木さんは、
     「そうね、今日は、月曜にしては売れたんだけど、
     これじゃあ、アパート借りて、
     維持していくのはまだまだ厳しいね。まだまだだなあ。」
     と感慨深げにおっしゃいました。

     そうですよね。維持していくのは、とても大変なこと。
     渋木さんは椎間板ヘルニアで、立っているのも辛い状態。
     あまりに体調が悪いと、販売できない日もあるそうです。
     今日一日だけで、私もヘトヘト。
     天気がよかった、とはいえ、やはり寒かったです。
     渋木さんの明日の目標は50冊、だそうです。
     早く暖かくなりますように。







     
     
3月5日(金曜日)        「小さなお葬式」


     昨日、代々木公園にて、
     あるホームレスの老人が凍死しました。
     ホームレス歴20年、82才だったということです。


            


     お酒を飲んで、泥酔していたところを警察官によって
     発見され、公園まで送られた、とのこと。

     なぜ、そこまで酔っている人を
     公園に送り届けたりしたのか?
     納得がいかず、仲間たちが憤慨します。


            


     お酒に酔って、寒空の下で寝てしまって亡くなる、
     というケースは、ホームレスに限らず、よくあるそうです。
     自業自得、といえばそれまでですが、
     今回のケースは、警察が発見しているのですから
     少々訳が違います。
     ”なぜトラ箱に一泊でもさせられなかったのか?”
     ”相手がホームレスだから??”
     ホームレス仲間、支援者たちの無念な気持ちは
     治まりません。

     仲間思いのOちゃんが叫びました。
     「なんでだよ。
     もう俺、仲間が死ぬの見たくない。なんでだよ。」

     老人のすぐそばに住む仲間が言いました。
     「あの人は、いつも酒ばっかりだったんだ。
     何か食べたほうがいいよ、って俺が食べ物差し入れても、
     ありがとう、っていうんだけどさ、
     いつも食べないでそのままだった。」

     「俺は泣くのが嫌いなんだ。
     めったに涙なんか流さないんだ。」
     そう言いながら涙を流す人・・。

     「悔しいね。」
     「悔しいよね。」
     そんな会話が、何時間と続き、
     支援者、仲間たちがおじいさんの好きだったお酒を供え、
     小さな小さなお葬式をしました。


            


     なんとかならないだろうか。
     どうすればいいのだろう。
     いつも思うんですけど、なかなかどうにもならない。
     今日もまた、何もできない悔しさでいっぱいです。



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